「逆さバイバイ君」誕生について


[逆さバイバイ君]

 自閉症のある人が地域で人間らしい生活を営むためには、「その一生涯を通じて継続的な自閉症支援が必要不可欠である」ということは、自閉症児・者に関わる方たちの間では容易にご理解いただける時代になりました。
 しかしながら、一般社会における自閉症理解という部分では、未だに様々な誤解や偏見がつきまとっています。

 見た目に分からない障害は様々ありますが、その困り感の「伝えにくさ」「説明のしづらさ」において、自閉症は最も困難な障害ではないでしょうか。
 身近な地域社会へ、どのような形で「自閉症」を紹介していけばよいかということは、自閉症啓発を主軸として活動している当事者団体の私たちにとって、大切なテーマ(課題)です。
 言葉で説明しきれないのだから、この子たちの実像を「姿」として見せることはできないだろうか。そのような発想から、幼少期のごく短い期間に自閉症児が見せる行動=逆転したバイバイ=をモチーフにして、自閉症啓発のためのシンボルキャラクターを誕生させました。

 「自閉症」は、コミュニケーション障害でもあります。
 『コミュニケーション』とは行う者同士が相互に意味を解した関係性を備えていて初めて可能となる手段です。
 しかし、その部分に重篤な障害を持って生まれてきたこどもたち。
 やっと、真似(模倣−学習)ができるようになった幼い自閉症の子が、見えたままを再現再生している健気な姿。それが掌(てのひら)を自分に向けてバイバイしている姿です。

 当法人では、この「逆さバイバイ君」のマークを通じて、自閉症の理解者や応援者、協力者がたくさん見守っていてくださる住み慣れた街、安心して暮らせる地域社会の実現を目指し、自閉症の正しい知識の啓発と理解を求め発信し続けていきたいと考えています。

理事長 角田千里
平成21年9月1日(ネット販売開始に寄せて)